既読

コロナ禍のひとつソーシャルディスタンスが人に与える影響は想像以上に大きい。
そんなことをブツブツ唱えながら、人と人とのつながりについて改めて考え直してみる。

携帯電話の普及により、対個人でのつながりが主流となり、それが当たり前だと思いつつある現代。
僕にその対個人のつながりの危うさを教えてくれた人がいる。

中村良子さん

今となってはこの名前が本名なのかすらわからない。
彼女は札幌の北15条にあったカフェ、リットで出会った人のひとり。

ある夜カフェにふらっと入ってきた彼女は「通勤の通り道なの」って、あっという間に常連となった。
僕のカンボジアでの活動にも共感してくれて、僕が渡航する度に「孤児院の子どもたちに」ってたくさんのお菓子を持たせてくれたりもした。

2012年にカフェは閉店。常連たちは散り散りに・・・
それからしばらくして僕も東区から白石に引っ越したこともあり、彼女と会うこともほとんどなくなったが、たまにメールや電話でカンボジアの活動報告をしたり、僕のライブに誘ったりと、折に触れコンタクトは取っていた。

2013年、いや2014年、彼女の甥御さんが事故で亡くなったことでひどく精神的に落ち込み、みるみるうちに痩せていった。

2015年秋、久しぶりに電話すると彼女は入院中とのこと。
彼女は嫌がったがお見舞いに伺い、しばらくぶりにゆっくりと話をした。
「東京の姉のところで暮らすことにしたんだ」って・・・
そういえば以前からお姉さんのマンションに引っ越す話は聞いていたが、彼女は両親が残してくれた札幌の自宅にこだわっており、決めかねていた。
最後に彼女はポツリと「ひとりって淋しいから・・・」

2016年1月の中頃、いつも通りカンボジアからの帰国報告を彼女にメールした。
しかしそのメールが返ってくることはなかった。

2016年2月、もう一度メールを入れる。
するとすぐに送信エラーのメールが返ってきた。
そのアドレスはもう存在しないという。
びっくりして電話をすると・・・
「現在この電話番号は使われておりません」と。

あれから4年が過ぎ、今回のソーシャルディスタンスの中、ふと彼女のことを思い出す。
彼女は今どうしているんだろう・・・
糸の切れた凧が空に吸い込まれていったように、僕らの世界から彼女は消えた。

携帯電話だけの彼女と僕のつながりは、凧の糸のようなもので、一度プツリと切れてしまえば、それを取り戻すことはできない。

そして今、コロナ禍の下、僕らの社会はオンラインという凧の糸でつながった危うさの中で、何とか保たれているように思える。
でもそれは案外脆い。

既読
作詞・作曲・編曲:横田岳史

また明日ね あれからずいぶん経つけど
あの日以来 見かけることはなかった
どうしたんだろう  みんなが心配したけど
何も告げず 彼女は消息を絶った

ある日ふと思い出して 彼女にSNSで メッセージを送った

ご無沙汰してます 彼女に送ったメッセージ
既読にならない 彼女に送ったメッセージ

写真さえも ほとんど残ってなかったけど
思い出なら たくさんみんなに残した
そういえばと 最近体調良くないんだって
こぼして笑ってたっけ 誰かが そうつぶやいた

彼女の携帯にかけた そしたら電話の向こうで 現在この電話番号は

お元気ですか? 彼女に送ったメッセージ
既読にならない 彼女に送ったメッセージ

お元気ですか? 彼女に送ったメッセージ
既読にならない 彼女に送ったメッセージ
どうしてますか? 彼女に送ったメッセージ
既読にならない 最後に送ったメッセージ

今も時々あなたを だんだん消えゆくあなたを みんな昔になる前に だから歌にしたんだ

Special thanks to
写真提供 鈴木清貴さん ガッチャ
写真出演 金子さん
写真レタッチ 宮澤修一さん PhotoWorks Freak
手拍子 FMしろいしの仲間たち
動画素材 えふすと https://f-stock.net/
音楽素材 ORANGE FREE SOUNDS http://www.orangefreesounds.com/

YOUTUBE https://youtu.be/wXloEWJ1haI

シェアしていただけたら飛び跳ねて喜びます笑

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