カンボジアとの出会い 14/17
行政マンの管理する施設をひと通り見学した後、彼は僕にこう言った。
「素晴らしい提案はこれまでにもたくさんあった。しかし設置して終わりでは意味がない。システムの運用のノウハウが普及のためには欠かせない。必要なのは機械ではなく、人なんだと思う。」と・・・
奇しくも行政マンは僕と同じことを考えていた。
これまでの支援は物だけ与え、どう使うかというソフトの部分がすっぽりと抜け落ちている。
先進国からの贈り物も、現地のニーズとのすり合わせができておらず、使われずにひっそりとたたずんでいるものをたくさん見てきた。
僕は行政マンに言った。
カンボジアとの関わりが孤児院から始まったこと。
子どもたちの自立のために、ここでの雇用の創出が必要だと感じたこと。
その答えのひとつが排水処理の普及だということ。
そしていつかはカンボジア人の手にそれらを渡したいと考えていること。
お互いのスタンスを確認しあった後、行政マンの案内で苦情が出ている病院や学校の排水の状況を視察しに行った。
どこも下水道が近くを通っていないため、そのまま川に流入していたり、地下に浸透できずにたまった汚水から悪臭や害虫が出ていたりと深刻な問題を抱えていた。
つづく